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45日間の不在。
が始まる。
たかが45日やん。と私の中の他人は言う。
(1年くらいならわかるけど、大げさやなぁ。。)
同時に、もっと大きなことの始まりだと知っている。だから妙な興奮もある。
「湿っぽくなくていいね」とカレーを食べながら言うので、「前に泣いたからじゃない?」と言うと、「あぁそっか」とナンをちぎりながら言う。
「諦めてるしね」とつけたすと、もぐもぐしながらこっちを見るだけだった。
野菜や果物を食べること
仕事をサボり、身体を大切にすること
気張らずに本を読むこと
を約束し、私は生きて帰ってくるようにと伝えた。
脅さないでと笑うけど、万一だとしても見逃せない覚悟が必要なのだ。
見送る私には。
池袋駅の階段を駆け上がる。
上りきって立ち止まる。
いってらっしゃい!
を、精一杯の表現で
改札で大きく手を振った。
ほんとにひらひらと、大きな蝶のように軽やかに舞っていった。
あっさりと姿が消える。
蝶ならば、捕まえてはおけない。
蝶ならば、追いかけようもない。
私の夏休みも始まった。