夫婦について

実家は南北に風がよく通るので気持ちがいい。
風の通る場所に椅子を置いて、台所でゆったり片付けをする母と話す。


熟年離婚て社会問題だねぇ。と私。
「お父さんとピンチになったこと、ないの?」
「ないですね。今も協力して生きてるものね。」

コツは、言葉だと言う。
良い言葉で伝えること。
言葉にすること。

夫婦は一番身近な他人なのよ。
気遣わなきゃ。
エゴをぶつけていい相手じゃない。
まず言葉。そして結局、言葉が一番大切。


「ムカツクなんて思ったことないわ。まぁ向こうはしょっちゅうイライラしてるでしょうけど。アハハ〜」

とか何とかいってると、庭が騒がしくなった。
ガラガラと玄関が開く。

「おーいちょっとお客さん連れてきた!」

父が、散歩中に親しくなった人に庭の野菜をあげるために連れてきたらしい。

「あらそう!」と言って、ささっと飲み物を用意して庭に持って行く母。
そういうタイミングを、母は絶対に外さない。
氷をくるくるかき混ぜて、冷たくして。
あら奥様ご丁寧に〜!とかなんとかいう声が聞こえる。


庭からはご婦人の楽しそうな笑い声。
父は、母が「信じられない」というくらい社交的だ。
私には絶対できない、と言いながら私のためにジュースを注ぐ。




子どもが出来ようが、家族の核は夫婦だ。
今まで子どもでよかった私たちの世代が、結婚して家族を作っていく。


お互いずけずけものを言って激しく喧嘩して、言いたいことを言い合うのがいい。気を遣わずにいられるのがイチバン!みたいな気もするけど、うーんどうなんそれ?と私は思う。
そんな人とずっと一緒にいられるかしら。
攻撃に耐えられるかしら。
それがほんとに夫婦の姿?
変えたいと思うほど、人は変えられないのに。


我慢でなく、遠慮でなく、伝える方法はいくらでもある。と思う。
ときに上手くいかないことはあっても。
きっと夫婦ほど、意図的なコミュニケーションが大切なんだ。
言葉は省いちゃいけない。言葉選びをめんどくさがらない。



私個人の枠を超えて、私たちの世代が社会を担う番で、結婚する人はチームワークの良い、風通し良く気持ち良い夫婦や家族を作っていってほしいと、そんなことを願う。