アルケミスト
仕事の鞄のなかに、いつごろからかお守りとして入れている本があって、
それは読み物というより、自分のなかではお守りになっていたから
一度読んだあと、ずっと閉じたままだった
アルケミスト を久しぶりに開いてみた
ぱっと開いたそのページには、
「人が本当に何かを望む時、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助ける」と
わたしには、気づいていることがある。
ただ、それがほんとうにそうだと思っていいのかがわからない。
それはきっと、そうならないときにひどく傷つくのを恐れているからなのだ、
と、思い当たった。
知っている。
だから、家を出た。
ひとりで暮らし、ごはんを作っている。
働いている。
泳いでいる。
音楽を聴いている。
目の前にいない人たちのことを、想っている。
そういうことを、もっと認めていいのだ
認めるのも信じるのも、恐いし、馬鹿らしいことかもと思う、
だけど、この自分のなかの、とても透明な、水の中をまっすぐ進む、
この気持ちよさにしたがっているのなら、
それはきっと大丈夫