吉田さんという天使

吉田さん、というのは私の営業先に出入りされている掃除の方で、休憩室で何度かお会いするうちに親しくなった。

60歳なのに肌がすっごくきれいで、すっぴんにとてもシックな色の口紅だけつけて、いつも元気で明るい。ちっちゃい身体をフルに使って、エネルギッシュに話しをしてくれる。

たまにお見かけすると、私は必ず「吉田さーん!」と言って近寄っていく。
近寄っていきたくなる人なんだな。
そうすると「おう、かめちゃん!元気か?」とすんごくいい笑顔で応えてくれる。

そして、私たちはいろんな話をする。



そんな吉田さんに、久しぶりに会った。今日は映画の話。


最近、ついにひとりで映画館に行ったらしい。
今まで絶対にひとりでどっかいくことなんてできなかったんだけど、最近勇気出していってみたら案外できたそうだ。

「私もな、オトナになったわぁ〜」と得意そうに話す吉田さんだったけど、私は密かに感動した。



人はいくつになっても、自分に課題を与えていくのかもしれない。
そして、いつだってそれを乗り越えたいと思ってる。
ああしたい、こうなりたいって願う。
そういう生き方は人をいきいきとさせるな。
年齢じゃないんだ。




そんな吉田さんに、思い切ってひとつ、いま私が決断しようとしていることについて相談してみた。

そしたら、思いっきり背中を押してくれた。
めっちゃいい、って。
ぐっとこみ上げるものがあった。


「かめちゃんは、とにかく若い。若いってやっぱり素晴らしいねん。失敗なんて、おそれるもんちゃうし、もし失敗したって恥ずかしいことなんてひとつもないんやで!今しかできないことは、今のうちにやらな絶対に後悔するで!」


とにかく力強くて、まっすぐな目だった。
ありがとう、っていうのが白々しくなっちゃうくらい、ぐっときた。




やっぱ今週すごいわ!