タンホイザーとパワーストーン

タンホイザーを、始めから終わりまで聴いた。
電気を消して。京都で買ってもらったパワーストーンを右手に握って。すーっと音楽の海に潜った。




CDで、ここまでどきどきするとは思わなかった。
心臓、頭、口の中。どきどきが伝染していく。どんどん身体中の力が抜けていく。
はじめは膝の上においていた手も、重力に逆らえずに膝から滑り落ちた。
右の手のひらがしびれるしびれる。

自分でもびっくりした。


まぶたがずんと重くなり、ひとつ向こうの、奥の世界にいった気がした。




石は、とても熱くなっていた。