光は売らない

私には何もない。
特技も能力もない。
あーやっぱ何にもないなぁと毎日感じる。

それを認めて受け入れたとき、たったひとつだけ、自分の中の宝物とも言えるような小さな明かりに気づく。
ぽっと灯るたしかな光。
私のもつ唯一のもの。
これ以外に、私は何も持たない。


「うまく言えるかな」
彼は言う。

「その光、『売りもの』にしなくていいと思う。」


そうか、これは売りもんじゃない。
売れないし、売りたくない。
買ってもらいたくない。


なんだかほっとした。