スケール
夜行バスで新宿に戻る。
バスで眠り、深夜に目覚めて「新宿行き」という掲示を見ると、ふいに自分の現実を掴めなくなる。
どこに住んでいて、どこからどこに向かっているのか。
実際、西宮も三鷹も、どっちがホームタウンだか分からない。
どちらに対して「帰る」と言えばいいのか。
帰るのは、場所ではないのだと思う。
もっと色んな土地を知りたい。
もっと色んな場所に住んでみたい。
私の場合、旅のような短い滞在でなく、1〜2年くらいそこに住んでみたい。
そしてまた場所を変える。
きっと私ならどこでも暮らしていける。そんな気がする。
そうやって巡り住み、いつか、ずっと暮らしていける土地を見つけたい。
昼過ぎまで寝る。
遅い昼食をとりにお蕎麦屋さんへ。
本屋で世界地図を見る。
私ならどこにいきたいかなぁ。
吉増剛造の写真集。
アラーキーと陽子さんのエッセイ・写真集。
最近、写真に惹かれる。
見るのでなく、撮ってみたい。
本屋でいろいろ見てたら、これからのことにわくわくしてしょうがなかった。
いますぐ会いに行き、腕をつかんでぶんぶん振り回し、「とにかくこれからめっちゃ楽しみー!」と叫びたかった。
どんな風に笑ってくれるかがわかる。
でもちょっとそれはおあずけだ。
自分のイメージしたスケールでしか生きられないのだと思う。
だから私は、誰にみせる必要もない自分の頭の中で、遠慮なくデカいスケールで空想する。
そのスケールで生きられるはずだから。