背中の、二本の透明な腕のこと
なんとなくだけれど、
わたしは自分の背中、ちょうど背骨のくぼみを付け根に、胸のした胃の裏側あたりに
透明な腕がついているような感じがする。
好きとか愛してるとか、そういうことは言葉じゃどうにも伝えられないし、
自分でも「ある」とか「ない」とか言えないし、
愛を語るなんて押し付けがましい。
きらいきらい。
だけども人と話をしていると、その透明な腕で、相手を抱いてるような不思議な感覚がある。
自分のほんとの腕で抱ける人は限られてしまうけれど、
この透明な腕なら、遠慮なく。
とても淡くて不確かで、曖昧だけれどわたしにとって、
愛とはそんなふうに透明な腕で抱くみたいなそんなことかもしれない
抱いたような気になるとき、あっそうなんやわたしって、と
こういう想いがあるのだなぁって、
意識するかしないかの、
そんくらいのもんでいい。と思う