■
長い朝礼が終わり、わたわたと準備をしていると私あてに電話があって、きのうあなたが発表したことを紙にまとめてfaxしてなんて言われ、時間もないのに思い出しながら書いて送る。
約束の時間に遅れそうで、あわてて会社を飛び出す。
右手にも左手にも荷物。重いけれどどれも置いていけない。
地下鉄に飛び乗って、ちょっと座ってまた乗り換え。
秋葉原についてチャージ。
改札を出て、人のあいだを全力で走る。
走りながら私は、この走ってる女が自分だとはとても思えなかった。
なんだなんだこの身体への衝撃。
なんでこんなに急いでるんだろう。
だけど、だからと言って虚しいというわけじゃなくて
そういうことじゃなくて、
走って向かっているのはお客さんのとこだけじゃなく、
この日々が、とても大切などこかにつながっている。
確実に近づいている。
走ったり、電話かけたり、聴いたり話したり笑ったり、怒られたりそそのかされたり
すればするほど、まだ見えぬ何かに必ず近づいてる。
走るときに感じる身体への衝撃が、わたしがもうすでに何かに向かっているということを
伝えてくれる。
走りながら、あぁそうか。なにも心配はいらないのだと知って、
でも、この走ってる女は誰かしら
と思ったのは誰かしら