陽子さん

アラーキーの写真が好きだ。
こう言うと「あーやっぱこいつ…(変態)」と思われるかもしれないけど、いいと思うもんはいいんだからしょうがない。

最近の作品は知らないけど、奥さんの陽子さんの写真がとくに好きだ。


大学2回生のとき、本当に何の気なしに「東京日和」という映画を観た。
この夫婦をモデルにつくられた映画で、私は始めから終わりまで約2時間、とめどなく泣いてしまった。(そのころ男性とか夫婦について異常に悩んでいたからだったと思うけど)

アラーキーもすごいけど、陽子さんもすごい。
映画だし、色んなことがデフォルメされているだろうけど、でもふたりの魅力や愛情がじっくり伝わってくる内容だった。

そんなこんなで、その日以来アラーキーに対して私のアンテナが反応するようになった。



で、今日ぶらぶら本屋にいって、久しぶりに陽子さんがいっぱい写っている写真集を手にとった。
新婚旅行の写真。電車の中の写真。家の中の写真。
もちろんヌードだっていっぱい写ってる。


正直、陽子さんてのはめっちゃくちゃ美人というわけではない。
スタイルだって、おしりは丸くて女っぽいけど胸は小さい。とても控えめ。(同胞)
全体的にするーんとしていて、どうみてもモデル体型じゃない。


でも、私の目は釘付けになってしまう。
なにか惹かれるものがある。
どんなスレンダーな、どんなグラマラスな女にも負けない、むしろその方が「つまんない」と思わせてしまうような魅力。


顔が、身体が、存在が、とにかく力強い。
なのに、いつも少し「影」をまとっている。



こういう女の人がすっごく好きだ。
そして、そんな女の人って、めったに見かけない。


「陽子さんみたいに」っていうんじゃないけど、ものすごく心強い先輩のように感じる。
私も私のままで解放すりゃいいか、と思える。
撮るなら撮れよ、というように。


いっぺん陽子さんの目を見てみてほしい。
どきっとするくらい強いし、凛々しい。
決定的にこの人にしかない魅力、というのがむんむん漂っている。
たぶん、言うこと聞いてしまうな。ちょっとムリしてでも。





あと、なぜアラーキーの写真をいいと思うかと言うと「とても生々しいから」。
そのまま、を写してる。変なフィルターがない。でもちゃんと演出されている。
どういうこっちゃ。でもそう感じるんだからしかたない。


最近、雑誌やブログなどで写真たちを見ていると、どうも「小奇麗にまとめた」感を感じずにいられない。
いや、写真だけじゃなくて、女も男も服も建物も本も、なんだかそういう「おしゃれな感じ」に溢れてないかしら?
なぜだか少しいらっとするときがある。



たまにそういう女の人を見ると、私は陽子さんを思い浮かべる。
私は、あちら側の女でありたい。